振動工具の安全管理は「使用時間」だけでは成立せず、工具ごとの振動加速度実効値と使用時間を組み合わせた「日振動ばく露量」の積算管理を組織として設計しなければ、振動障害は防げない。

「1時間守った」は正しい。しかし、何の1時間かを把握していなければ、振動管理は機能していない。
「使用時間を守っているから安全」振動工具の管理として広く信じられているこの判断は、実は半分しか正しくない。振動工具のリスクは使用時間だけでなく、工具が発する振動の強さ(振動加速度実効値)との掛け算で決まる。強い振動の工具を1時間使うことと、弱い振動の工具を1時間使うことでは、身体への影響がまったく異なる。国際規格(ISO 5349)に基づく日振動ばく露量(A(8)値)の考え方では、振動レベルと時間の両方を管理することが求められている。問題は作業者の意識ではなく、工具ごとの振動データを把握せずに時間だけを管理している組織設計の欠如にある。振動データの収集・日振動ばく露量の計算・工具選定への反映・作業計画への組み込みという一連のプロセスを組織として設計することが、振動障害を根本から防ぐ唯一の手段である。